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仙台地方裁判所 昭和35年(行)9号 判決 1963年11月13日

原告 株式会社 高橋工業所

被告 仙台北税務署長

訴訟代理人 加藤宏外 六名

主文

被告の原告に対する昭和三四年六月二七日付昭和三二年七月一 一日より昭和三三年六月三〇日に至る原告の事業年度の所得金額を金九四七万六五〇〇円、法人税額を金四〇四万五六四〇円過少申告加算税額を金一万〇五五〇円とする確定申告更正決定はこれを取消す。

右更正処分に対する原告の再調査請求につき、被告が昭和三四年一二月二一日付でなした再調査請求棄却決定を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、被告訴訟代理人は「原告の各請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

原告訴訟代理人は請求原因として

一、原告は青色申告書提出の承認を受けていたものであるが、昭和三二年七月一日より昭和三三年六月三〇日に至る事業年度の法人税について、昭和三三年八月二九日青色申告書をもつて確定申告したところ、被告は、原告に対し同年一二月二三日付で右確定申告の更正処分及び過少申告加算税額を決定し、

次いで昭和三四年六月二七日右確定申告の再度の更正処分(以下「再更正処分」という)及び過少申告加算税額を決定し、これを同月二九日原告に通知した。右確定申告、更正処分、再更正処分の内容は、別紙一覧表のとおりである。

原告は、被告の再更正処分を不服として同年七月二七日被告に対し再調査の請求をしたところ、被告は同年一二月二一日付をもつてこれを棄却する旨決定した。

二、しかしながら、被告のなした再更正処分並びに再調査請求棄却決定には、次のような違法があるから取消さるべきである。

(一)  被告のなした再更正処分並びに再調査請求棄却決定は何れも適法な理由の附記を欠いているから違法である。

即ち、青色申告をしている法人の確定申告を更正するに当つては法人税法第三二条後段の規定に基き、その更正処分通知書に理由を附記しなければならないが、その理由としては、特に帳簿書類の記載以上の信憑力のある資料を摘示して具体的に当該結論に至つた事由を当該処分を受ける法人にその記載自体からして判然と分る程度に記載すべきことは勿論である。口頭その他の説明による補充は許されないと解すべきである。前記再更正処分の通知書(甲第一号証)には更正の理由として単に「(イ)建物譲渡損の否認金五八万七五九四円、(ロ)建物譲渡益金一万二四〇六円、(ハ)借地権計上洩金三三〇万円、(ニ)寄附金超過取消金六〇万三〇四二円」と記載されているのみであつて、その具体的内容は不明であり、右記載のうち「(ハ)借地権の計上洩金三三〇万円」の借地権とは、如何なる土地の借地権なのか、借地権がどうしたために計上洩となつたのか、その金額は如何なる根拠に基き如何にして算定されたものか等その具体的理由は、右記載自体からはこれを知るに由なく、これを知るためには被告に対し特に口頭その他の方法によつて質さなければ判明しないような瞹昧な記載であつた。従つて右再更正処分は適法な理由の附記を欠いた違法がある。

又再調査請求棄却決定についても法人税法第三四条第七項に基き同決定通知書中に、不服事由に対応してその結論に達した過程を当該決定を受ける法人に判然と分る程度その理由を記載すべきである。しかるに、本件再調査棄却決定通知書(甲第三号証)には「(株)高橋工業所並びに(株)百反はともに同族会社であり、資産の譲渡による行為計算は同族会社の行為計算否認に該当するとした当初の処分は相当であり、計算過程による誤りはない。(株)百反の設立は新規設立であつて基本通達二五四の取扱は受けない。」とあるに過ぎない。従つて、その記載は極めて抽象的で不備であり、又右再更正決定の理由と併せ考慮しても具体的な借地権の内容表示、その評価根拠、その借地権なるものがどうして更正事由に該当するからその基準等の記載を欠き不服事由に対応してその結論に到達した過程を合理的に明かにしたとは云えない。従つて右再調査棄却決定は適法な理由の附記を欠いた違法がある。

(二)  仮りに、右再更正処分並びに再調査請求棄却決定に適法な理由の附記を欠いた違法がないとしても、右再更正処分は原告に借地権譲渡の事実がないのにその事実を創作しその譲渡一収益金三三〇万円を計上課税した違法があり、右処分を維持した再調査請求棄却決定も、その点で違法を免れない。

即ち、原告は、原告会社代表取締役高橋熊三郎個人所有の仙台市新伝馬町一五ブロック第九番宅地二一八坪一合七勺(同町六六番の一、六七番、六七番の一の換地予定地)の一部約五三坪(以下「本件土地」という)の宅地上に建築所有していな鉄筋コンクリート二階建店舗一棟(建坪一階五六坪四合九勺、二階五二坪五合二勺、屋階六坪四合)(以下「本件建物」という)を、昭和三三年一月頃訴外株式会社百反に対し譲渡した事実はあるけれども、原告は本件土地につき地上権、賃借権等の権利を有した事実はなく、又地上権、賃借権等を右訴外会社に譲渡した事実もないし、いわんや、借地権譲渡の対価として金三三〇万円を受取つた事実もない。本件土地所有者高橋熊三郎は原告会社の代表取締役であるので、原告が本件土地上に本件建物を建築するに当つて訴外高橋熊三郎と別段本件土地の使用関係又は占有関係につき何等の契約もしておらず、単に右建物敷地として事実上無償で使用していた(不法占有)に過ぎない。又訴外会社の代表取締役高橋徹郎は原告会社代表取締役高橋熊三郎の息子であるから、原告と訴外会社との間においても、本件土地の占有使用関係につき何等の契約も締結せず、本件建物譲渡に伴い訴外会社は事実上原告の占有状態を引継いだに過ぎない。

然るに、原告が再更正決定附記理由(ハ)の「借地権計上洩金三三〇万円」について納得しかねたので、その理由を質したところ、被告は原告が本件建物譲渡の際、本件土地の借地権も当然譲渡しているのに、その借地権譲渡代金三三〇万円を益金に計上していない趣旨であると説明した。

しかし、被告に借地権がなくそれを譲渡する筈もないという事実を無視し、原告に借地権があることを前提として創作し、その創作の上で金三三〇万円の借地権譲渡益ありとしてなした右再更正処分はその範囲で違法があり、且それを維持してなした再調査申請棄却決定は違法である。

(三)  法人税法第三条の三の法条は、憲法第八四条に違反した無効の法条であるところ、本件再更正処分並びに再調査棄却決定には右無効の法条を適用した違法がある。

即ち、憲法第八四条は、所謂「租税法律主義」を規定したものであつて、その趣旨とするところは、租税に関し、その根拠並びに具体的内容(課税物件、課税標準、税率、納税義務者等)は原則として、法律に定められることを要し、ことの性質上、例外的に法律が政令等の法形式に委任する場合でもその委任の範囲は特に最少限度にとどめられなければならないというのであるが、法人税法第三一条の三には、同族会社の行為又は計算を否認した場合の更正処分の基準となる課税標準、欠損金額、法人税額につき何等法律上の明文がなく、単に「政府の認める」課税標準、欠損金額、法人税額によるとされているに過ぎないから、明らかに前記租税法律主義を定めた憲法第八四条の趣旨に反し無効である。

又右規定が仮に憲法に反せず有効であるとしても、同条を本件の場合に適用することは違法である。

三、よつて、原告は、昭和三五年一月八日頃仙台国税局長に対し、右再更正処分並びに再調査請求棄却決定の取消を求めて審査請求をしたが、以来六ヶ月を過ぎても決定をみるに至らないので、本訴に及ぶ次第である。

と述べ

被告の答弁に対し、答弁第二項の事実中(一)、(二)および(三)の(2) の事実は認める。(三)の(1) の事実は否認する。第二項(四)の事実中、昭和三三年一月現在の原告及び訴外株式会社百反の株主名、その所有株式数、資本金、代表取締役名は認めるもその余は争うと述べた。

被告訴訟代理人は答弁として

一、 請求原因事実第一項は認める。第二項(一)の事実中再更正処分通知書並びに再調査請求棄却決定通知書にその附記理由としてそれぞれ原告訴訟代理人主張どおりの記載だけしかなされていないことは認めるもその余の点は争う。第二項日一の事実中原告が訴外高橋熊三郎所有の原告訴訟代理人主張の本件土地(但しその坪数は五六坪四合九勺である)上に同代理人主張の本件建物を建築所有していたこと、原告が昭和三三年一月頃訴外株式会社百反に右建物を譲渡したこと、その際原告は右訴外会社から右土地の使用権譲渡の対価として金三三〇万円を受取つたことがないことは認めるもその余の事実は争う。第二項(三)は争う。第三項は認める。

二、再更正処分並びに再調査請求棄却の理由は次のとおりである。

(一)  原告は、昭和三三年一月頃訴外株式会社百反に本件建物を譲渡した際その譲渡価額を金四〇〇万円と計上し、係争事業年度の決算において、右譲渡価額と本件建物の帳簿価額金四五八万七五九四円との差額金五八万七五九四円を譲渡損に計上した。被告は、右建物の価額を少くとも金四六〇万円と評価し、その評価額と譲渡価額との差額金六〇万円は原告が訴外株式会社百反に贈与したものと認定した。右認定を前提とすれば法人税法第九条第三項同施行規則第七条の規定に基く課税すべき寄附金限度超過額は右金六〇万円を加算して計算さるべきであり、その総額は金六〇万三〇四二円となるので、被告は工事収入金の計上洩等の事由と合せて昭和三三年一二月二三日原告の所将金額等を更正したのである。

(二)  その後、原告は本件建物の譲渡価額を金四〇〇万円から金四六〇万円に増額した。そこで被告は、昭和三四年六月二二日再更正処分の際、次のような修正計算を行つた。即ち原告の右増額の結果、前記譲渡損金五八万七五九四円は生じないからこれを否認し(附記理由(イ))却つて前記帳簿価額と右譲渡価額との差額金一万二四〇六円の本件建物譲渡益を生じたからこれを益金に加算することとし(附記理由回)当初の更正において贈与として寄附金に加算した前記金六〇万円も贈与として処理する必要がなくなつたから、寄附金の限度超過額から差引いた。しかし右譲渡損否認の金額と譲渡益の金額を合算した金六〇万円は金六〇万円の寄附金減少金額と相殺されるから、右修正計算によつて原告の所得金額には異動を生ずることはない。

(三)(1)  前記更正処分後、更に調査したところ原告は訴外高橋熊三郎との明示もしくは黙示の契約に基き、本件建物の使用を目的とし、原則として建物朽廃にいたるまで本件土地を使有出来る権利(それが賃借権であるか、使用貸借上の権利であるかないしはそれに類似する無名契約上の権利であるかは判然としない)を有しており、右使用権は原告が訴外株式会社百反に本件建物を譲渡した際同時に同会社に移転されたものであり、その価額は鑑定結果によれば金三九五万円と評価されるのに原告は右使用権の価額を無視して単に金四六〇万円という建物(建築費)だけの低廉な価額で譲渡していることが判明した。

このような取引は、一般法人の取引においては、通常あり得ない異常な取引であり、それはひとえに後記記載の原告と訴外株式会社百反との間に同族会社という特殊な関係があつたから為されたのである。もしこのような低廉譲渡を容認すれば正常な取引の場合と比較して本件建物譲渡に伴う原告の所得が過少に計上され、法人税の負担を不当に減少させる結果になることは明らかである。

(2)  よつて、被告は、法人税法第三一条の三第一項の規定を適用し、所謂借地権の価額を金三三〇万円と計上し(附記理由(ハ))本件建物の譲渡に伴い必然的に右借地権も譲渡があつたものと認定し、同金額を益金に加算して所得金額を計算した。又右加算の結果所得金額が増加し、従つて法人税法施行規則第七条の損金算入限度額が増加した結果一般の寄附金について生じていた限度超過額金三、〇四二円は右限度を超過しないことになつたので先に金六〇万円を差引いた前記寄附金限度超過額から右金額を差引いた。(附記理由(ニ))そして、被告は昭和三四年六月二二日右計算に基いて再更正処分をなしたのである。

(四)  尚、原告及び訴外株式会社百反は同族会社である。

即ち、原告の昭和三三年一月頃の株主は、別紙記載の「株式会社高橋工業所株主名簿」記載のとおりであつて、訴外高橋熊三郎の所有株式金額金一四五万円、同人の次男高橋秀夫の所有株式金額金五〇万円、河田政治郎の所有株式金額金七五万円でこれらの者の有する株式金額は合計金二七〇万円となり、原告会社の資本金額金五〇〇万円の五四パーセントを占めており、法人税法第七条の二第一項第三号に該当する同族会社であり、訴外高橋熊三郎はその代表取締役で名実共に原告会社の経営者である。

また、訴外株式会社百反は、原告会社の代表取締役高橋熊三郎の長男である高橋徹郎を代表取締役とする法人で、昭和三三年一月頃の株主は別紙記載の「株式会社百反の株主名簿」記載のとおりであつて、高橋徹郎の所有株式金額金一五万円、同人の弟高橋秀夫の所有株式金額金一〇万円、同人の母高橋まちの所有株式金額金五万円で、これらの者の有する株式金額は、合計金三〇万円となり、同会社の資本金額金五〇万円の六〇パーセントを占めており、原告会社と同様に法人税法第七条の二第一項第一号に該当する同族会社であり、原告とは資本系統を同じくし、実質的にはいわゆる姉妹会社の関係を有しており、両会社ともに高橋熊三郎親子の個人的色彩の強い法人である。

三、再更正処分通知書並びに再調査請求棄却決定通知書の附記理由に不備の違法はない。

即ち、係争事業年度において、本件建物以外に原告に建物の譲渡行為はなく、又原告が第三者所有の土地を使用していたのは、右建物が存する本件土地のみであることは、原告にとつて明らかな事実であるから、この程度の理由でも、納税者たる原告にとつて、本件建物の所有権及び本件土地の借地権に関する前記再更正処分の内容は理解しうるに充分であると謂うべきである。現に原告が本件処分に対し再調査請求をなした際、被告に対して提出した「法人税の再調査請求理由の追加申立並びに陳情書」(乙第二号証の二)によれば、建物譲渡損否認及び建物譲渡益については、異存なく納得し帳簿を修正するが、借地権計上洩については納得しかねるとして、本件土地貸借の特殊性を強調し、一般的な評価基準の適用を非難している。もし、本件再更正の理由が原告にとつて理解し難いのであるならば、このような不服申立事由がなされる筈がない。要するに、本件再更正決定通知書の附記理由に不備の違法はない。

そして、右に述べたとおり、再更正決定通知書の附記理由は、原告にとつて充分理解しうる程度に記載されており、原告もそれを理解したうえで前記のような不服事由を挙げて、再調査請求をしているのであるから、このような再調査請求に対する棄却決定の理由としては本件再調査棄却決定に附記された理由で充分であり、理由不備の違法はない。

と述べた。

証拠<省略>

理由

請求原因第一項の事実は当事者間に争いがない。

法人税法第三二条後段において、青色申告者の申告を更正する場合更正処分通知の書面にその理由を附記すべきことを規定し、また法人税法第三四条第七項が再調査請求棄却決定に理由を附記すべきことを規定しているのは一般に税務官庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を納税者に知らせて不服申立に便宜を与え、又無用の争訟を防止する趣旨に出たものであるから、決定をなすに至つた理由を具体的に記載自体で納税者が理解し得る程度に記載すべきでみる。また、青色申告者に対し法規の定める詳細な帳簿組織の備え付けを義務づける反面、帳簿の記載を無視して更正されることのないことを保障する等種々の特典を与えている青色申告制度に関する法の精神を併せ考えるときは、青色申告者の申告の更正処分通知書には、更正の理由として、特に帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示して納税者がその記載自体から充分に理解出来る程度の具体的な根拠を附記すべきであり右の程度の理由の記載を欠く更正処分は違法であり、取消を免れないと解するのが相当である。(参照最高裁判所昭和三八年五月三一日判決、同昭和三七年一二月二六日判決)

然るに、本件昭和三四年六月二七日付再更正処分の通知書には更正の理由として単に「建物譲渡損の否認金五八万七五九四円、建物の譲渡益金一万二四〇六円、借地権計上洩金三三〇万円、寄附金超過取消金六〇万三〇四二円」との記載がなされているだけであることは当事者間争ないところである。しからば、いかなる資料に基きどのような計算をした結果更正されたのか不明であり、どのような借地権がどのような資料により認められたのか、その借地権の価額を課税対象として計上することがどうして正当なのか、その借地権の価額がいかなる根拠に基いて算出されたものなのか等について、右の記載自体から納税者がこれを知るに由ないものであるから、それをもつて法人税法第三二条後段にいう理由附記の要件を満たしているとは認め難い。

従つて本件再更正処分は、附記理由に不備の違法があるから、その余の点について判断を加えるまでもなく、取消を免れない。

成立に争ない乙第二号証の一、二によれば原告は再更正処分のうち「借地権計上洩三、三〇〇、〇〇〇円」について異議ありとして原告及び訴外会社百反は同族会社であつて、原告の代表取締役高橋熊三郎は本件土地を他人に対し土地の貸借するような考えでなく何時でも必要なときは容易に契約の解除もなし得るものとの考えで、本件土地を原告に使用をまかせていたものであつて、本件土地の転貸を承諾する意思が全然なかつたものである。又、借地権の評価価額はあまりにも過大であるとの理由で、再調査請求の申立をなしたことを認めるに充分である。

そして被告は右再調査請求に対し昭和三四年一二月二一日付を以て再調査請求棄却の決定をなし、右再調査請求棄却決定の通知書には理由として「(株)高橋工業所並びに(株)百反はともに同族会社であり資産の譲渡による行為計算は同族会社の行為計算否認に該当するとした当初の処分は相当であり、計算過程による誤りはない。(株)百反の設立は新規設立であつて基本通達二五四の取扱は受けない。」との記載がなされているだけであることは、当事者間争ないところである。前記再更正処分通知書附記理由と対照してみても前示の如き記載だけでは再更正処分が何故に相当であつて再調査請求が理由がないかにつき、具体的な理由の説示があつたものとは云えないから法人税法第三四条第七項が要求している理由附記として不十分である。特に、本件の如く法人税法第三一条の三の所謂同族会社の行為又は計算の否認の規定を適用した場合にあつては、否認の対象となつた行為又は計算の内容、否認の根拠、否認した結果いかなる資料に基き、いかなる課税標準により計算したのかその計算の過程等を明らかにすべきであるのに、前示記載理由にはこれらの点につき何等の説明もなされていない。

従つて本件再調査請求棄却決定は附記理由に不備の違法があるから、その余の点について判断するまでもなく取消を免れない。

よつて原告の本訴請求は何れも正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 新妻太郎 高橋史朗 渡辺剛男)

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